2023年02月15日

救急集中治療医がマンガで解説

千葉大学発医療スタートアップ企業である株式会社Smart119が、点滴の管のしくみについてのイラストレーションを一般公開しました。

救急集中治療医がマンガで解説

水分や薬剤を緩やかに投与する点滴は治療で多く使用され、長い時間をかけることから「適量なのか、早くできないのか」と思われる方がいますが、投与速度は厳重に決められているもの。

どのように調整されているのか、点滴の管のメカニズムも含め、救急集中治療医の見地から親しみやすいマンガで解説されていて、この資料は学校、企業、公共機関、町内会等で自由に配布・利用していただくことが可能となっています。

点滴は、治療で多く用いられ、水分や薬剤を一定の濃度で持続的な投与ができることから熱中症などの救急時はもちろんのこと、入院時の定期的な投薬に使用され、長い時間をかけて一滴ずつ投与することで、血中薬剤濃度の急激な上昇を防げる安全な方法でとなっています。

点滴は、薬剤によって投与速度が厳重に決められており、同じ容量でも、所要時間が30分のときもあれば、12時間をかける場合もあります。

この速度を調整するのが「クレンメ」という流量調整装置で、「何秒間に何滴」と確認するのが「チャンバー」という透明な筒で、投与される薬剤ごとに調整し、アナフィラキシー・ショックを起こすことなく、体内へ穏やかに取り入れるようにしています。

「時間がかかりすぎではないか」「滴のペースが早い」と長時間の点滴で管の様子を見て不安がる必要はありません。点滴が、安全で安心できる治療であることを解説します。

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Posted by 寺島寿樹  at 10:57Comments(0)薬剤

2021年11月10日

アトピー性皮膚炎に対する外用PDE4阻害薬が登場

2021年9月27日、アトピー性皮膚炎(AD)治療薬のジファミラスト(商品名モイゼルト軟膏0.3%、同1%)の製造販売が承認されました。

用法用量は「成人には1%製剤(小児には0.3%製剤)を1日2回、適量を患部に塗布、小児には症状に応じて1%製剤を1日2回、適量を患部に塗布することができる」となっています。

手のかゆみ

ADは、増悪と寛解を繰り返す、そう痒のある湿疹を主病変とする慢性炎症性疾患であり、患者の多くはアトピー素因を有するものと定義されていて、中等度から重症のADは、広範囲な発疹を特徴となっていて、持続する難治性の痒み、皮膚の乾燥、亀裂、紅斑、痂皮と毛細血管出血を伴うことがあり、患者にとっては、痒みが最も大きな負担となり、体力を消耗させることもあります。

ADの治療方法は、病態に応じて薬物療法、皮膚の生理学的異常に対する外用療法・スキンケア、悪化因子の検索と対策が基本となっており、これらを個々の患者ごとに症状の程度や背景などを勘案して適切に組み合わせており、中でも、ADの薬物治療としては抗炎症性の外用ステロイドとタクロリムス水和物(プロトピック他)が有効性および安全性において多くの臨床研究で検討されている中心的治療薬に位置付けられています。

ADの治療目標は、症状が認められない、あるいは症状があっても軽微であり、かつ日常生活に支障がない寛解状態への導入およびその維持なのですが、既存の外用ステロイドは皮膚萎縮、毛細血管拡張などの局所副作用により、適応部位(顔など)や長期連用に関する問題も生じていて、この問題に関しては、2020年6月よりヤヌスキナーゼ(JAK)阻害作用を有した非ステロイド外用薬のデルゴシチニブ(コレクチム)が臨床使用され、改善されるようになりました。

ジファミラストは、既存のADの外用薬と作用機序が異なり、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)の酵素活性を選択的に阻害して抗炎症作用を示す、日本初となる外用のPDE4阻害薬(油脂性軟膏剤)であり、ADの末梢血白血球ではPDE4様活性が亢進し、細胞内環状アデノシン一リン酸(cAMP)濃度が低下していることが認められており、このPDE4は多くの免疫細胞に存在し、cAMPを特異的に分解する作用を有しています。

ジファミラストは、PDE4阻害作用により、炎症細胞の細胞内cAMP濃度を高め種々のサイトカインおよびケモカインの産生を制御することにより、ADの皮膚炎症を抑制、既存のPDE4阻害薬としては、2017年3月より経口薬のアプレミラスト(オテズラ)が乾癬やベーチェット病による口腔潰瘍の適応で臨床使用されています。

軽症から中等症のAD成人および小児患者を対象とした国内第III相試験および国内長期投与試験にて、本薬の有効性および安全性が確認されているのですが、副作用として、色素沈着障害(1.1%)、毛包炎、搔痒症(各0.5%以上)などが報告されているので十分注意する必要はあります。

薬剤使用に際しての注意事項

  • 塗布量は、皮疹面積0.1m2あたり1gを目安にすること
  • 1%製剤で治療開始4週間以内に症状の改善が認められない場合は、使用を中止すること
  • 小児に1%製剤を使用し、症状が改善した場合は、0.3%製剤への変更を検討すること
  • 妊娠可能な女性には、本薬投与中および投与後一定期間は適切な避妊を行うように指導すること
  

Posted by 寺島寿樹  at 09:44Comments(0)薬剤

2021年03月17日

MONITARO-Lite

MONITAROは、病院を訪問する取引業者向けの記帳に代わるスマートチェックインシステムで、問診・体温記録等の感染管理も含めてペーパーレスで管理することができるのですが、今回新たにリリースするMONITARO-Liteは薬剤部と製薬MRがコミュニケーションする上でかかせない担当者リスト・通知機能・面談予約機能といったシンプルな機能だけに特化することで製薬MRに対しても無料で提供することが可能となり、更に間もなくチャット機能(双方向メッセージ機能)も利用できるようになるのだとか。

MONITARO-Lite

昨今、薬剤部と製薬MR様の連絡ツールが有償化の流れにある中で、全国の病院薬剤部や一部製薬会社からも切実な相談があったようで、今回、薬剤部と製薬MR向けのMONITARO-Liteを新たにリリースすることまったようで、今後も病院及び医療業界全体においてより健全なサービスの普及に今後も精一杯努めていくようですよ。

  

Posted by 寺島寿樹  at 13:35Comments(0)薬剤